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上斎原の観光拠点が11月で閉館に

こんにちは。

6月3日の山陽新聞ニュースで岡山県の最北に位置する鏡野町上斎原にある「国民宿舎いつき」が老朽化を理由に今年11月29日をもって閉館するという大変残念なニュースがありました。

 

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上斎原地区は恩原高原スキー場や高清水高原や県立森林公園などがあり、観光産業が地元の経済や雇用に大きく影響するだけに今後が心配です。

山陽新聞によると鏡野町長は「近隣に観光スポットが多く、時代にあった宿泊施設を整備できるように早急に準備を進めたい」としていますが、壊してからしばらくの間は宿泊施設がなくなるのはいかがなものでしょうか。

 

上斎原村史によると、「国民宿舎いつき」は国道179線の整備がすすみ、高度経済成長に合わせ、スキーなどの観光が村の産業の重要な位置を占めるようになった1968年(昭和43年)に宿泊客を100名収容できる「国民宿舎 白雲閣」として建設されました。

当時の白雲閣は大変好評で1973年には増築され、年間の宿泊客が1万人を超えていた時代もありました。

上斎原村の観光客数も1976年には年間約43万人を記録しています。

 

しかし、バブル期に差し掛かると、安価な家族旅行のニーズが減り、国民宿舎の利用が伸び悩むようになります。1982年には村に挙式披露宴をする場所もなかったことから宴会場のリニューアル。そして1996年には全室にバス・トイレを設置、大浴場にサウナや岩風呂を作るなどの大規模な改装をおこない、名前も「国民宿舎いつき」に変わりました。

 

ここで上斎原村の年間観光客と国民宿舎いつきの年間利用者数の推移を紹介します。(岡山県観光客動態調査報告書より)

       上斎原村への観光客(年間)  国民宿舎年間利用者数

1965年   25,000人       (データなし)    

1970年  166,672人       22,554人

1975年  354,412人       17,014人

1980年  295,747人       29,383人

1985年  289,326人       16,137人

1990年  261,000人       23,155人

1995年  349,000人       10,401人

                      ※改築で一時期休館

2000年  246,000人       24,964人

2005年  212,000人       20,842人

2010年  185,000人       27,188人

2015年  185,000人       15,780人

2018年  160,000人       14,775人

2020年   75,000人        3,849人

 

上斎原への観光客も「いつき」の利用者もコロナ前とピーク時に比べると約半分になっています。

そしてコロナが観光に与えた深刻な影響は2020年の数値を見ると一目瞭然です。

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最後に個人的なことですが、私は「いつき」の温泉が大好きです。夏や年末年始に津山に帰省すると必ず家族で日帰り入浴に行きます。

「いつき」の温泉は昔からある湯の谷温泉のお湯と平成に入って掘削した温泉が使われていて、とても良質です。お近くの方はぜひ足を運んでみてください。

なお、「いつき」は閉館しても、隣接している日帰りの温泉施設「クアガーデンこのか」は今後も運営されるようです。