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美作地方のシカの被害

こんにちは

ここのところ姫新線因美線などで動物支障によるダイヤ乱れが続いています。

原因はシカがはねられる事故です。(タヌキも冬になるとよく轢かれていますが、小さいのでそのままにされます…)

シカは鉄分を求めて、レールを舐めに線路に出てきます。JR西日本は鹿の鳴き声を出す装置を列車に取り付ける工夫もしようとしているようですが、山間の滅多に列車が通らなくなった場所からシカが立ち去ることはないでしょう。

シカの被害は、岡山県の農業や林業にも大きな被害を与えています。

令和2年の岡山県の農林水産物の獣類による被害は以下の通りです

シカ  →被害額 32,196,000円

イノシシ→被害額 94,705,000円

サル  →被害額 25,854,000円

シカの被害はイノシシには及びませんがサルを上回っています。

ちなみに岡山県内で昨年捕獲したシカの数は13,150匹にのぼったそうです。

 

シカの被害は、私が子どもの頃は全くと言っていいほど聞きませんでした。

なぜなら当時はシカが岡山県北部にほとんど生息していなかったからです。岡山県の調査によると、1975年のニホンジカの生息数は岡山県内でわずか100頭ほどでした。しかもその生息地域は備前市兵庫県との県境などに限られていました。

当時のシカは駆除どころか保護の対象(狩猟禁止)だったのです。それが時代が経つにつれ生息地域を広げながら増加し、平成4年ごろから農作物や山林への被害が顕著になりました

下に2018年の岡山県のパンフレットを貼りますが、津山市鏡野町真庭市ではこのほど20年であっという間に増えたのです。

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なぜここまでシカが増えたのか。

実のところ原因ははっきりとしていません。

環境省は、ニホンジカは、明治時代に乱獲によって激減し捕獲が規制された後、減少に歯止めがかかり、繁殖率が高いうえに死亡率が低下したことで増えたと分析しています。

死亡率が低下した要因としては
①積雪量の減少 ②造林や草地造成などによる餌となる植生の増加 ③中山間地域の過疎化などにより生息適地である耕作放棄地の拡大④狩猟者の減少 ⑤捕獲規制の緩和の遅れ (2007 年までメスジカは禁猟) ことが指摘されています。

環境省の分析を岡山県北部に当てはめれば、一番大きな原因は③の過疎化だと思います。

 

岡山県は平成15年度から「ニホンジカ保護管理計画」を策定し、メスジカの狩猟の解禁や狩猟期間の延長、わなの規制緩和と次々に規制を緩和して捕獲頭数を増やしていますが、それでもシカは増加の一途をたどっています。