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美作地方の会陽(えよう)

こんにちは。

毎年2月第3土曜日に岡山市西大寺で執り行われる会陽(えよう)は、別名裸祭りとも呼ばれる、褌一丁の約9000名の成人男性が陰陽2本の「宝木(しんぎ)」を取り合う大変珍しい祭礼です。

会陽はかつては旧暦1月14日、正月祈願の結願日に行われていました。

旧暦1月14日は新年最初の満月(1月15日)の前日。庶民にとっては1年の起点の前日、もう一つの大晦日のような位置づけの日でした。

西大寺はご存じの通り、吉井川を行く高瀬舟の拠点。美作地方からも会陽の日は多くの人が参詣したようで、会陽にあわせて津山から臨時の高瀬舟も運行されていたといわれています。

 

また会陽は西大寺を発祥として、岡山県内の寺社に広がりました。最も盛んに行われていたのは明治の中頃。その後は負傷者や、けんか騒ぎが起きることが理由で、多くが中止されたり福引きなどに姿を変えていきました。

現在、美作地方で「会陽」が残っているのは以下の寺院です(ホームページなどで確認ができたもので、まだあったらすみません)

安養寺(美作市:旧美作町

岩倉寺(西粟倉村)

木山寺(真庭市:旧落合町)

顕密寺(美作市:旧英田町

このうち、安養寺と岩倉寺では西大寺と同様に褌姿の男性が「真木」を取り合う裸まつりです。

安養寺では本番に先立ち子ども会陽も開催されています。

木山寺は明治ごろから会陽が始まりましたが、1984年から福引きで陰陽2本の「御宝木(ごしんぎ)」が授与される形に変わっています。

顕密寺は西大寺とは違う形式の「五大力餅会陽」が2月第1日曜に行われています。

総重量185キロの大小2つの餅と台を持ち、どれくらい運べるかを競い合うものです(53キロの上餅をどのくらいの時間持てるかを競う子どもの部もあります)。この五大力餅会陽は承久3(1221)年、後鳥羽上皇隠岐に流される途中、この寺に祈願した際に、その詔によって始まったと伝えられていますが、何回か中断し昭和30年に今の形で復活しました。

 

長い歴史を持つ会陽ですが、大勢が肌を寄せ合うものであるためコロナウィルスの感染防止のために今年も中止が相次いでいます。

本当に残念でなりません。来年こそ盛大に行われることを祈ります。