まるしてんblog 美作地方.岡山県をつらつら

美作地方、岡山県の交通、民俗、方言など

祝 因美線全線開通90年

今日7月1日は因美線(津山・東津山鳥取間)が全線開通して90周年の記念すべき日です。

 

全線開通当時、地元は因美線にどのような期待を寄せていたのか、国会図書館で1923年7月1日の山陽新報(現在の山陽新聞の前身)の記事を閲覧したので、紹介します。

 

山陽新報はこの日、因美線全線開通を報じる記事を祝賀広告を含めて6面に渡り掲載していました。

因美線全線記念號」と名うって書かれた第4面の記事には、この日11時から津山で祝典が開催されることが紹介され、相互に結ばれる運命にありながら物見峠の峻険に阻まれていた山陰道東部の首都鳥取市山陽道北部の盟主津山市が物見トンネルの開通で2時間余で往来できるようになったこと。因美線の開通は中国鉄道(現在の津山線)や宇野線、本四連絡船によって山陰・山陽・四国を横断する重要な任務があると書かれています。

また、因美線の着工から全通に要した期間は18年。総工費は当時で691万円。1キロあたり95,000円の費用を要したこと。物見トンネルが最大の難工事であったことなどが詳細に紹介されています。

 

5面の記事では「陰陽両道の連絡上重要な役割にある津山」というタイトルで、以下のような記事が書かれています。

 

「中国鉄道の起こりは岡山ー津山ー米子のコースを目的とした倉吉・津山間鉄道敷設の請願も早く明治30年代に議会に採択されている。先年開通を見た伯備線も要するに岡山から津山市を経由して米子に達する中国鉄道予定線を以て国費の陰陽連絡船たらしめんとする計画を中途変更して岡山ー倉敷ー高梁ー新見ー米子コースに改め、加えて津山ー新見間を以て作備線となったに過ぎない。津山は陰陽連絡の最高、最要の地点にありながら今日まで一歩の遅れを見ていたのが今回因美線の開通によって元の重要地位に復帰した訳である」

 

要は津山は昔から山陰と山陽を結ぶ最重要拠点で、最初は鉄道が米子つく予定だったが、当時の国が津山を経由しない伯備線を作った。今回因美線が開通して岡山ー津山ー鳥取という路線が完成したのだから津山は復権するだろうという記事です。

 

こうした地元の大きな期待を背負って開通し、現在に至る因美線

現実は中国鉄道の国有化が昭和19年と遅く、陰陽連絡線として直通することが十分発揮できなかったこと。

その後昭和20ー30年代は津山線よりも姫新線を経由して姫路や関西方面との陰陽連絡線として旅客・旅客とも賑わった時期もありますが、沿線の過疎化や線路の近代化が遅れるなかでの高速道路の開通、さらには智頭急行が開通で陰陽連絡の役割も奪われ、現在では津山ー智頭間が存廃を含め協議の対象としたい路線としてJRから名指しされるに至っています。

因美線は10年後無事に100周年を迎えることができるのか。ありとあらゆる方策を考えていく必要があると思います。

 

 

因美線の主な出来事をまとめました】

1919年12月20日 鳥取ー用瀬間に軽便鉄道として因美線開通

1928年3月15日 因美南線 津山ー美作加茂間開通

1931年9月12日 因美南線 美作加茂ー美作河合間開通

1931年3月   物見トンネルが着工から2年5ヶ月で完成

1932年7月1日 美作河合ー智頭間開通で因美線全線開通

1934年9月21日 室戸台風により因美線大被害

1935年12月17日 因美線ラッセル車登場

1944年6月5日 東津山駅で脱線転覆事故 4人死亡

1957年9月   因美線内でディーゼル車運転開始(全線開始は翌年3月25日)

1960年5月   臨時列車で準急みささ運転

1960年10月1日 準急みささ運転開始(大阪ー上井、大阪ー津山間はみまさかを併結)

1962年9月1日 準急砂丘運転開始(鳥取ー津山ー宇野)

1963年4月1日 三浦駅開業

1966年3月5日 準急みささ、準急砂丘いずれも急行に昇格

1970年3月   因美線全線無煙化

1973年3月12日 因美線の貨物列車廃止

1984年8月10日 国鉄再建監理委員会 因美線第3次廃止対象候補にリストアップ

1989年3月11日 急行みささ廃止

1997年11月29日 急行砂丘廃止

2007年 みまさかスローライフ列車運行開始(臨時列車)

2018年7月5日 豪雨災害で因美線被災

 

f:id:marushiten:20220701110953j:image

ちなみに津山駅では因美線鳥取方面行きが1番ホームです。


f:id:marushiten:20220701110956j:image

今日から岡山県では岡山デスティネーションキャンペーンがスタートしました。

美作地方でも様々な趣向を凝らした観光キャンペーンや企画が多数開催されます。

津山駅の列車接近メロディも今日から当面の間、B’zの「イージカム・イージーゴー」が使用されるとのことです。

特に因美線には今も現役の近代化遺産が多数現存しています。

鉄道に興味のある方はぜひ足を運んでみてください。