芸備線存続の危機と因美線
こんにちは
芸備線の存続に向けて、10月8日に広島県と岡山県、新見市、庄原市及びJR西日本が利用促進策を協議したとのニュースが報じられていました。
岡山県側は駅から接続する乗合タクシーの導入やバスの時刻変更などが提案されたとのことですが、バスの接続などは「なぜ今頃?(=もっと早くできたのではないか)」と不思議に思うものです。
そして芸備線の存廃問題は新見や庄原方面の問題であることは確かなのですが、美作地方の姫新線や因美線もすでに「人ごとではない」状態に瀕していることも忘れてはいけません。
今日は岡山県内の芸備線と因美線の駅の1日あたりの乗車人員について、平成元年度と平成30年度の比較したものを紹介します。(出典は岡山県統計年報)
坂根 H元 普通 5 定期 9 H30 普通 0 定期 2
市岡 H元 普通17 定期 30 H 30普通 1 定期 7
矢神 H元 普通20 定期 49 H 30普通 0 定期 9
野馳 H元 普通40 定期 74 H 30普通 2 定期22
高野 H元 普通31 定期 75 H30普通 2 定期31
美作滝尾 H元 普通33 定期175 H30普通 2 定期28
三浦 H元 普通19 定期103 H30普通 3 定期11
美作加茂 H元 普通87 定期188 H30普通 8 定期56
知和 H元 普通 9 定期 24 H30普通 0 定期 4
美作河井 H元 普通15 定期 58 H30普通 0 定期11
いずれも30年間で大幅に利用者が減りました。今回は紹介していない姫新線や津山線でも同様の傾向は見られますが、大きなウエイトを占めていた定期利用の大幅減が響いています。
これは沿線の特に若い世代の人口が減少していることを如実に示しています。ちなみに平成元年はいわゆる団塊ジュニア世代が高校生の時代でした。過疎化は進行していても学生の人口はそれなりにいたのです。
普通利用(乗車券を購入しての利用客)は芸備線だけでなく、因美線の鳥取との県境区間でも1日平均が1人に満たない駅が発生しています。秘境駅の木造駅舎で鉄道マニアには有名な知和、貴重な転車台が現存する美作河井です。
因美線の凋落の要因は、智頭急行の開通(1994)による津山線との直通運転の廃止や津山ー智頭間の減便が考えられます。多少時期がズレますが、1991年当時は、美作加茂駅に急行「砂丘」が上下10本全便停車していました。こうしたサービスがなくなれば当然利用者もいなくなります。
利用者が減れば当然、鉄道の本数は減りますし、鉄道の本数が減れば今まで利用していた人も利用しなくなります。この負の連鎖を断ち切らない限り、それほど遅くない時期に因美線も芸備線と同じように廃止も視野に入れた協議が始まるのではないでしょうか。
因美線が芸備線と同じような形でJRと協議する場合は、岡山県、鳥取県、津山市、智頭町の4者で沿線自治体協議会を作ることになるはずです。
高野から美作河合まで、H30現在でも1日141人の定期利用者がいることも決して無視できません。
存続を求めるのであれば、今のうちにあらゆる手を打つ必要があると思います。